みなさんは
骨盤底筋群って聞いたことありますか?
この骨盤底筋群、
実は腰痛にとても関係しているものの1つなのです。
そこで今回は
「骨盤底筋群と腰痛の関係性」について紹介します。
骨盤底筋群って?
骨盤底筋群とは
骨盤の底を作っている筋肉のことで
尾骨筋、恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋が
これに含まれます。
骨盤底筋群は骨盤の底を作っているので
骨盤内臓のポジショニングを補助したり
トイレを我慢したりするときに補助筋肉として働きますが
その他にも
骨盤や腰(腰椎)の安定性を担っていたり
それらの負担を軽減するという役割も持っています。
そのため
この筋肉を「意識して動かす」ということは
あまりありませんが
意識していなくても常に働いている筋肉なので
気づかないうちに疲労がたまっていたり
筋力が衰えていたりして
その結果、”腰痛”として症状が出てくることがあります。
骨盤底筋群の働きが悪くなる原因は?
骨盤底筋群の働きが悪くなる原因としては
①腰回りの筋力の低下
②妊娠・出産
③呼吸が浅い
④横隔膜の柔軟性の低下
などがあります。
腰回りの筋肉、特に腹横筋(TA: tranversus abdonminals)、は
骨盤底筋群と同様に
骨盤や腰(腰椎)の安定を保つために大切な筋肉です。
そのため、
姿勢の悪さや運動不足、
コルセットなどによる長期間の不要な固定は
腰回りの筋力の低下の原因となり
結果として骨盤底筋群に
大きな負荷をかけてしまうことになります。
妊娠・出産に関しては、精神的な面はもちろん
骨盤底筋群を含め
身体に対して物理的にも大きな負担がかかります。
本来存在しないものがお腹の中に現れることで
臓器が追いやられてしまい
その周囲の筋肉や皮膚は引っ張られてしまいます。
また妊娠・出産に伴って
骨盤周りの靭帯は女性ホルモンによって緩められるため
安定性を維持するために骨盤底筋群は
妊娠をしていない時より
はるかに大きな負担を受けることになります。
また、呼吸が浅くなることや横隔膜の柔軟性が低下することは
横隔膜がドーム状になることができなくなっている状態なので
腹部の臓器が下方向へ押される力が常にかかってしまい
結果として骨盤底筋群に負担をかけてしまいます。
骨盤底筋群の不調のサインは?
骨盤底筋群が不調になった場合
腰痛や骨盤痛として症状が出ることが多いので
実際に指摘されるまで気づかないという方が多いですが
腰回りの痛み以外の自覚症状としては、尿漏れがあります。
骨盤底筋群の筋力低下や
うまく筋収縮できなくなってしまうことで
トイレを我慢できにくくなったり
重いものを持ち上げたり笑ったりするなど
腰回りに力が入り、腹腔内圧が上がった際に
尿漏れが起こってしまいます。
また自覚症状として尿漏れのある方は
腰痛持ちであることが多いともいわれています。
どうやって改善する?
改善方法は
施術者によって筋肉の疲れを取り除いてもらうことと
筋力トレーニングによるものです。
施術方法は2パターンで
PR(Positional release)を用いて
患者さんが座った状態で行う方法と
Diaphragm domingと同じ要領で
患者さんが背臥位(仰向け)の状態で行う方法があります。
PRを用いた方法の場合には
左右同時の治療が可能ですが
背臥位で行う方法の場合には
片方ずつの治療になります。
使い分けとしては
・患者さんがよりリラックスできる体勢
・骨盤底筋群の痛みの強さ
などを考慮したうえで行います。
ただ、いずれにしても
施術を行う際には
部位的に配慮がとても大切になり
特に異性の方に施術を行う際には
説明をしっかり行って
了承を得たうえで施術に移りましょう。
筋力トレーニングに関しては
骨盤底筋群と腰回しのトレーニングが必要になります。
しかし、この両方は
いわゆる”コアマッスル”に当たる筋肉で
相互関係にある筋肉なので
別々にトレーニングを行わなくても
どちらかのトレーニングを行うことで
もう片方の筋力強化がみられることも多いです。
骨盤底筋群のトレーニングは
1.トイレを我慢するようにお尻に力を入れる
2.力を入れた状態を10秒保つ
3.力を抜く
4.2と3を最低1日25回行う
という内容になります。
そしてこのトレーニングの効果を実感するには
最低でも24週間(約半年間)
継続することが大切だと言われています。
少し根気のいるトレーニングになりますが
あくまでこの期間は
骨盤底筋群のトレーニングによって
「腰痛が楽になった」と実感する期間なので
その他の腰回りのトレーニングや
腰痛の治療を同時並行で行うことで
もっと短い期間で実感できますし
尿漏れなどの他の症状もある方の場合は
それらの改善が早い段階で見られることが多いです。
最後に
骨盤や腰(腰椎)を支えるために
重要な役割を担っている骨盤底筋群ですが
腰痛の治療の際に見落とされやすく
骨盤底筋群がうまく機能できていないということに
気づかないことが多いです。
腰痛の原因にもなり得るので
腰痛の治療であまり効果を感じられなかったり
妊娠・出産経験のある方などの施術を行う際には
一度、骨盤底筋群をチェックしてみてください。
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