ピッチャーやアタッカーに要注意なSLAP損傷って?
- trefle osteo
- 5月20日
- 読了時間: 4分
更新日:5月30日
肩関節は関節可動域が広い分
“不安定な関節”なので
繰り返しの動作によって
ケガをしやすい関節の1つです。
そこで今回は
肩関節のケガの1つである
SLAP損傷について紹介します。
SLAP損傷って?
SLAP損傷とは
(Superior Labrum Anterior & Posterior)
肩関節の関節唇損傷の1つで
上側の関節唇が前から後ろにかけて
損傷してしまっている状態のものをいいます。
肩関節は上腕骨が “凸” となり
肩甲骨が “凹” となり噛み合わせていますが
関節可動域を広げるために
肩甲骨の窪み(関節窩)が浅く作られています。
その浅さを補強するために
関節唇が付いているのですが
肩関節を大きく動かすことでぶつかって
ダメージを受けてしまうことがあります。
SLAP損傷の場合、
上部の関節唇の損傷なので
肘が肩より高い位置での動作を
繰り返すことで引き起こしやすくなります。
どんなスポーツで起こりやすい?
SLAP損傷は、肩の動きの中でも
スローイング(投げる)動作で起こりやすいので
野球や水球などの投球を行うスポーツや
バレーやテニス、水泳(クロール、バタフライ)などの
スポーツをしている人に起こりやすいです。
特に、野球のピッチャーや
バレーのスパイク、テニスのサーブのように
1試合の中で何度も繰り返し
強く速くスローイング動作をするスポーツでは
そのリスクは高くなります。
そのため、練習や試合の後には
しっかりをケアをして
ダメージの修復を促したり
適度に休息をとることで
ダメージの蓄積を避けることが大切です。
また、転倒で肩を強打するなど
肩への直接的な強い衝撃でも起こり得るので
サッカーなどフィジカルコンタクトの強いスポーツや
ボクシングなどの格闘技でも
SLAP損傷を引き起こすことがあります。
予防するために何が必要?
SLAP損傷の予防のポイントとしては
1.上腕骨頭の関節内での可動域を広げる
2.過度な関節運動にブレーキをかけられる
の2つです。
関節は、動かしている骨が
もう一方の骨の上でスライドして
関節内に留まった状態で動くことで
関節の動きの制限を最小限に抑えています。
ですが、関節包、靭帯、筋肉、皮膚などの
関節を取り囲むものの柔軟が低下してしまうと
このスライドの動きがうまくいかず
関節唇などの関節の構造物にぶつかったり
その周囲にあるものを挟み込んでしまって
損傷を起こしてしまいます。
また、肩甲骨と鎖骨の動きが悪いと
肩の動きに制限がかかってしまうので
上腕骨の動きと同時に
肩甲骨と鎖骨の動きを改善することが大切です。
そして、上腕骨頭が関節内で
しっかりスライドするためには
まず上腕骨頭を関節内で
安定させる必要があります。
繰り返しになりますが
肩関節はとても不安定な関節なので
筋力によって関節の安定性を図っている部分が大きく
その役割を担っているのが肩のインナーマッスルである
肩腱板(ローテーターカフ)です。
肩腱板の筋肉は
(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)
腕を動かす役割もありますが
一番大切な仕事は上腕骨を
肩甲関節窩に引き寄せることです。
この筋肉のバランスが崩れると
正しい位置に上腕骨頭を
維持できなくなってしまい
その状態で腕を動かすことで
SLAP損傷などの関節唇を含む
肩関節周辺のものを痛めてしまいやすくなります。
また、肩の動きが想定よりも
大きく動きすぎてしまった場合に
その動きにブレーキを掛けられなければ
関節唇の損傷もより大きくなってしまいます。
そのため、肩腱板を中心に
肩関節周辺の筋肉をバランスよく
筋力改善することも大切です。
その他にも
疲労やダメージの蓄積を避けるために
食事と睡眠にも注意をして
基礎的な回復力・修復力を改善したり
回復・修復のために適度に休息をとるなども
予防にはとても大切です。
最後に
関節唇の損傷をしてしまうと
手術が必要となるケースもあり
その周囲にある上腕二頭筋なども
同時に損傷してしまうことで
競技復帰までに長期間を要してしまいます。
肩の動きをよく使う
スポーツや作業をしている方は
特に意識してケアをするようにしましょう。
Commentaires