日差しが強くなる春の終わり~秋のはじめにかけて
日焼けや肌の老化の観点から
紫外線が気になる方も多いですよね。
でも、紫外線がダメージを与えるのは
皮膚だけじゃないって知っていましたか?
今回は紫外線が身体に
どのようなダメージを与えるのか紹介します。
紫外線って?
紫外線(UV)は光の1種で
光の波長によって分類され
地球の地上まで到達し、
人体にダメージを与えるものをUVAとUVBと分類していて
そのうちUVBはたったの5%以下です。
そして、
紫外線の多くは皮膚の表層で吸収され
UVAはUVBより深層まで届きますが
人体に与える影響は
UVBの方がUVAよりも約1,000倍強いとも言われています。
そのため、紫外線を浴びた後に起こる
ほとんどの症状はUVBによるもので
UVAによるダメージは少ないと言われています。
どんなダメージを受けるの?
紫外線は”光”なので
特に光を察知する部分で
大きなダメージを受けやすいです。
光を察知する細胞/受容器は
目と皮膚にあるため
紫外線を浴びた後に起こる症状は
肌の赤みや日焼け、目の充血などが代表的です。
これらの症状は
紫外線を浴びたところの
細胞内のDNAがダメージを受けたり
身体にダメージを与えたり老化を促進する物質である
活性酸素(ROS: reactive oxigen species)の
生成が活発になったり
皮膚などで免疫システムを担っている
細胞(ランゲルハンス細胞)が枯渇することなどによって
起こると言われています。
また、紫外線を浴びると
身体ではストレスを受けた時と
同じ反応が起こることから
紫外線は人にとってストレスの1つでもあります。
そして、紫外線によって受けた
ダメージの修復には時間がかかるので
日々の紫外線の浴びすぎは
ダメージを蓄積させる可能性があり
皮膚がんなどの皮膚の病気のリスクを高めます。
さらに、長期的な紫外線の浴びすぎは
内臓(副腎髄質)にもダメージを与えるとも
言われています。
紫外線は”悪”だけじゃない!
これまで紹介した内容だけ見ると
「紫外線は”悪”」と思ってしまうかもしれませんが
紫外線には身体にとって必要な働きもあります。
それが、ビタミンDの生成です。
ビタミンDは腸内での
カルシウムの吸収をサポートするもので
食べ物から得ることができません。
そのため、身体で必要なビタミンDは
食事から得た栄養素(前駆物質)をもとに
皮膚内で紫外線/UVBを浴びて
ビタミンDを作り出すことで賄われています。
体内でビタミンDが不足すると
カルシウムの吸収が十分に行われなくなるため
骨が柔らかくなってしまい
骨軟化症(成人)/くる病(小児)や
骨粗しょう症などの病気を引き起こしてしまいます。
そして、最近では
UVAには血圧を下げる効果があることも発見され
紫外線が身体にとって有害なだけではなく
むしろ、健康に日々を送るうえで
大切な要素の1つであることも証明されています。
適切な対策と対処でダメージを最小限に!
ここまで紹介したように
紫外線は身体に大きなダメージを与えますが
完全に断ってしまうと
それもまた身体へのダメージの原因となってしまいます。
そのため、適切な対策と対処で
ダメージを最小限に抑えつつ
必要な効果を得る必要があります。
まず、身体に必要な紫外線の照射時間は
各機関(環境省や骨粗しょう症財団など)によって
多少異なりますが
平均的に15~30分間となっています。
この照射時間の幅は
夏の天気のいい日などの
日差しの強いときには15分ほど、
天気の良くない日や冬などの
日差しの弱い/ないときには30分ほどの
照射時間が必要になるなど
季節や天候によって左右されます。
また照射する身体の部分も
”手と顔”や”手のひら”など
身体の一部の小さな範囲だけで
全身で浴びる必要はないとされています。
なので、日中を通して
外での活動が少ない方は
紫外線に当たる時間を意識することが大切です。
逆に、仕事やスポーツ競技、外で遊ぶなど
日中に外での活動時間が多い方/多い日には
必要な照射時間はむしろオーバーしてしまうので
しっかりと紫外線対策を取る必要があります。
紫外線対策で1番大切なのが
日焼け止めクリームを塗ることです。
日本やヨーロッパ諸国では
日焼け止めクリームは
”コスメ用品”に分類されていますが
日差しの強いオーストラリアやアメリカなどでは
”医療品”として分類されているほど
紫外線を防ぐためには欠かせないものです。
そして、日焼け止めクリームを選ぶ際に
注目するのは”SPF”で
SPF数値が高い分、UVBを防ぐ効力が高くなります。
さらに、塗る量も大切で
SPFのテスト過程では
2㎎/㎠の量で行われているため
実際に使用しているほとんどの人が
本来の20~50%くらいの効力しか
得られていないのではないかと言われています。
また、紫外線によるDNAのダメージは
日焼け止めクリームの塗る厚さに
左右するともいわれているので
日差しの強い日や
外での活動時間が長いときには
少し多めに塗ることをおすすめします。
そして、夏になると多くみられる
”ウォータープルーフタイプ”の日焼け止めですが
このタイプの日焼け止めクリームは
濡れた後でも
約50%以上の効力保てるというものなので
プールや海などで遊ぶ際や
汗を多くかいた時などは
こまめに塗りなおすことも必要になります。
上記のような場合でなくても
1日に2回以上塗りなおすことで
紫外線による肌の老化を
24%も下げることができたという研究もあるので
最低でも朝とお昼に1回ずつ
塗ることでダメージを少なくしましょう。
その他にも、紫外線を浴びた時には
身体にダメージを与える
活性酸素(ROS)が多くなるので
身体の酸化(ダメージ)を防ぐために
ビタミンE,A,Cやβ-カロテンなどを多く含む
野菜や果物などを意識して食べることも
紫外線によるダメージを最小限に防ぐ
方法の1つになります。
※ただし、心臓や腎臓などの健康状態によっては
医師からの指示よって
摂取を控えなくてはいけないこともあるので
これらの臓器に持病を抱えている方や
ドクターストップがかかっている方は
かかりつけの医師に相談してください。
最後に
日差しの暑い季節はもちろんですが
紫外線は年中通して降り注いでいます。
紫外線は
身体にダメージとなる部分が多い反面、
身体に欠かせない要素でもあるので
適切な対策と対処で
ダメージを最小限に抑えましょう。
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