今回はBLTについて紹介していきます。
BLTって何?
BLTはその名の通り
靭帯のバランスを整えるテクニックです。
人の身体のすべての関節(頭を除く)は
靭帯によって強固に固定をされています。
そして筋肉は関節をよりしっかりと固定するために
必要な働きをしています。
しかし、捻挫などのケガをしたり
筋力の低下により関節の固定力が損なわれたりすると
靭帯に過度の牽引力(引っ張られる力)がかかってしまい
靭帯にハリやコリが出てしまいます。
それにより関節の動きが悪くなったり
関節の違和感や痛みが生じたりしてしまいます。
そういった状態がある時にBLTを用いることで
靭帯に”緩み”を出し関節の動きをよくしたり
関節周辺の環境を整えることで
違和感や痛みの軽減をすることができます。
またBLTはOMTの中でも
インダイレクト(間接的)テクニックに分類されるもので
痛みや違和感のあるポジションを避け
受けている人が一番リラックスできるポジションで行うテクニックです。
そのため受けている人も治療中につらい思いをすることも少なく
施術者も抵抗のある動きを避けたポジショニングを行うので
比較的身体に負担の少ないテクニックです。
どんな時に使うの?
BLTは基本的に慢性状態にある関節(靭帯)に対して使われます。
① 捻挫などのケガをした後の関節の不調
② 慢性的な首痛や腰痛
③ 使いすぎや年齢に伴う関節の強ばり
④ 関節の動きの悪さ
など用途は様々で
オステオパシー治療において使用頻度の高いテクニックです。
またケガをしてからまだ時間の経ってない(急性)人に対しても
BLTを用いて治療を行うことはあります。
もちろんケガをしている部分(患部)は
痛みがあったり炎症を起こしているので
直接的な治療はできませんが、
そのケガによってかかる
周辺の関節の負担を軽減するために
BLTを用いることがあります。
ケガをした際や関節に痛みがあって
思うように動かせなかったり
体重がかけられなかったりした場合
その関節の周辺の関節や反対側の関節に
普段以上の負荷がかかってしまいます。
この状態を放置していると
「ケガをしたところはよくなったのに、
ほかの場所が悪くなった」
ということが起こってしまいます。
そのため治療を行う際には
「悪いところを治す」ことと「良いところを維持する」ことの
両方を視野に入れることが必要になってきます。
使う際の注意点!
BLTは
「痛みや違和感などを感じるポジションを避ける」テクニックなので
施術を行う際には患者さんとのコミュニケーションが大切です。
例えば首の関節(頚椎椎間関節)でBLTを行う場合
ハリなどのある靭帯に軽く圧(指圧)をかけた状態で
前屈背屈、側屈、捻転、牽引圧迫のそれぞれの動きをチェックし
患者さんがより不快感の少ない方向へポジショニングをします。
※もし動きによって痛みや不快感に変化がない場合は
靭帯の緩みを感じる方向へポジショニングを行います。
また状況によっては患者さんとコミュニケーションが難しい場合
(難聴、子供、施術中に寝てしまったなど)は
施術者の指の感覚によってBLTを行うこともできます。
関節のそれぞれの動きの中で
靭帯の緩みが出る(ハリなどが軽減する)方向や
関節の動きがスムーズな方向へポジショニングを行います。
ここで重要なのが
物理的に靭帯の付着部同士が近くなれば
緩みが出るわけではないということです。
確かに普通に考えると靭帯にゆとりができる動き
(例:関節の右側の靭帯であれば右に傾ける)をすると
靭帯に緩みが出やすいです。
しかし、すでにハリなどが出ている場合は
その動きの方が不快に感じたり
痛みを生じたりすることもあります。
指の感覚(palpation skills)はOMTを行ううえで
とても重要であり基礎的な技術です。
BLTを行う際にはまず触診によって
どの靭帯に問題があるのかを探る必要があります。
そしてBLTの終わりの合図としては
施術を行っている靭帯や関節の
緩みや温かさ、抵抗の軽減がサインとなります。
この変化は微量なものになるので
術者の指の感覚が研ぎ澄まされている必要があります。
またこのテクニックは
靭帯に対する神経の流れを整えることにより
効果を生み出すものになるので
施術時間は人によって異なります。
最後に
BLTはインダイレクトテクニックなので
患者さんにとって”やさしい”治療法です。
また抵抗の少ないポジションで行うものなので
施術者にとっても負担の少ないテクニックです。
しかし、施術時間には個人差があり
施術者は短時間であっても
同じポジションを維持していなくてはいけないので
施術ベッドの高さの調節や椅子に座るなどして
比較的そのポジションを維持するのに
負担を軽減できるようにしましょう。
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